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第5回広島大学ホームカミングデーに参加して

 平成23年11月5日(土)に第5回広島大学ホームカミングデーが開催されました。私は一昨年、東広島キャンパスで衣笠祥雄氏の講演会を聴き、昨年は霞キャンパスで達川光男氏の講演会を聴きました。今年は『ズームイン!朝!』のコメンテーター、最近は『たかじんのそこまで言って委員会』の副委員長を務めるキャスターの辛坊治郎氏の講演会『テレビ報道のウラ・オモテ』が霞キャンパス内広仁会館大会議室で開催されました。講演会の始まる10分前に会場に着きましたが、すでに会場はほぼ満員状態で開演時には多くの立ち見の聴衆が出るほどの大盛況でした。

 最初に現在放映中の『たかじんのそこまで言って委員会』の話から始まりました。視聴率もいい反面、クレームの多い番組でありこと、特に福島原発事故後の中部大学教授の『東北の肉や野菜を食べると健康被害が起こる』という発言問題にたいするクレームが大きく、また評論家 三宅久之さんが辞意を漏らしていることから番組が終了になるかもしれないという話でした。

 次に大阪府知事を辞任し、大阪市長に立候補された橋下徹前府知事の話となりました。平成23年4月の大阪市議会議員選挙で大阪維新の会が過半数を取れなかったことを受け、橋下前知事が『場合によっては大阪市長選挙に大阪維新の会として私が出馬し、同時選挙になる府知事選には辛坊治郎さんを候補にする』と辛坊さんには寝耳に水の発言があり、その後二週間辛坊さんは報道陣から逃げるような行動をしていたそうです。二週間後に再度橋下前知事が『実は辛坊さんには府知事候補の件は何の連絡もとっておりません。私の希望を話しました。辛坊さんにはこの二週間迷惑をかけてしまいました。辛坊さんにはメールで謝りました。辛坊さんからは橋下さん勘弁して下さいというメールをもらいました。』と発言されましたが、辛坊さんは実はメールの返信はしていません。橋下前知事の発言だけが『事実』として報道され、辛坊さんがメールの返信をしていない『真実』は報道されていません。

 このようないきさつで『橋下徹はひどい奴だ』とおっしゃりながら、今の大阪市、大阪府の関係を分かりやすく解説され、話は今の選挙制度、国会議員の姿勢にまで発展しました。特に現在国政選挙で行われている小選挙区、比例代表並立制は非常に中途半端な選挙制度で、比例復活当選議員は次期選挙を見据えて日和見的な行動をとり、造反議員となりやすく(実際平成23年春の小沢擁護で民主党を離党した議員は比例復活議員で、新しい政権になったとたん復党しています)、このため連立政権を見据えた方策もとりにくく、政局が安定せず、議員は選挙直後には次の選挙を見据えた行動ばかりしているというニュアンスの話でした。選挙で選ばれた以上、議員はその任期中は自分の信念に基づいた行動をするべきであるとのご意見でした。一方、知事に就任した直後に信念に基づいて大阪府の大幅な出費の削減をした橋下徹前知事を『ひどい奴』だといいながらも評価されていました。しかし橋下元知事はそのために多くの人に恨まれており、織田信長の最期を連想させるとのことでした。辛坊さん自身は『私は人に愛されたいので政治には出ません。』とのことでした。

 話は歴代総理大臣の話、中国の税制、国家予算の話(日本は40兆円に対して中国は120兆円で積極的にインフラ整備をしている)、原子力問題にまで発展しました。詳細を述べることは困難ですのでここでは割愛いたします。

 しかしすべての話の中で、例えば机の上に丸くておいしそうな物体があって、大福餅と思って食べても実際は中にはあんこではなくワサビが入っているかもしれないという例を出されました。報道は嘘を伝えると問題になりますので、『事実』を伝えますがその内容が『真実』かどうかはわかりません。『手にしている情報はどういう背景があるのか、どの深さまで本当なのかを見極める事が大切であること』常に考えて行動することが大切であると繰り返されました。

 テレビでおなじみの軽妙なユーモアのある語り口で、しばしば場内は大爆笑となりました。しかし激動する世界を見抜いて生きていく上で内容のある貴重な講演でした。

 ホームカミングデーは11月第一土曜日に開催されています。皆さんも是非ご参加ください。


広報担当 竹本元義